8歳年下の従順だった夫が突然豹変。関係修復した2つの技術【夫婦カウンセリング事例】<Case8>

夫婦カウンセリング

個人カウンセリング 45歳女性

『最近、夫の様子がおかしい』『夫は変わってしまった』と感じることはありませんか?

多くの場合、その原因は妻が気づいていない“意外なところ”にあります。

今回はある2つの技術をつかってカウンセリングを進め、見事に夫婦関係を修復されました。

ぜひNさんの変化をご覧ください。

 ご相談者さまの簡易プロフィール
 年齢:45歳
 職業:主婦
 家族構成:夫 娘(15歳)
 兄弟関係:7歳下の妹(結婚し夫、二人の娘がいる)

ご相談者さまの状況

Nさんは夫姓ではあるが、姉妹第1子のため、自分の先祖代々を護るべく、結婚直後から実家で生活をしている。

夫は8歳年下だが、非常に器の大きい人で、自分も妹のいる男一人の長男にもかかわらず、Nさんの立場を理解し、Nさん側の親戚付き合いを重視してくれている。

Nさんの周りには、実家に色々口出しをする親戚が多々いる。

そのためNさんは、何するにもその親戚に意見を伺ったり、もしくは指示された通りにしか行動できない。

Nさんには妹がいるが、その妹が産まれてから母親の愛は妹のみに向けられ、「あなたは私の娘ではない」と直接言われた中で成長した。

現在も「私はあなたの子どもを孫とは思っていないから」と相も変わらず言われ続けている。

自分に自信がなく、いつもおどおどしながら、誰かの言いなりになってきたNさん自分の思いを言え、話を聞いてくれそれに従ってくれていたのが、唯一年下の夫であった。

しかし、その夫が最近変わってきたという。

Nさんの言うことを、素直に聞いてくれないばかりか、返事さえろくにしてくれないこともあるそうだ。

夫のこの対応に、Nさんは非常に驚きそして戸惑った。

そして、このままではいつか突然、離婚さえ言われかねないかも、という恐怖がおきている。

かといって、周りは力関係の強い人ばかりで自分ではどうしようもなく八方塞がりになり、夫との関係修復のためにカウンセリングにみえる。

カウンセリングでの対応

まず、今までNさんの応援者だった夫が、どういったことをきっかけにNさんとの関係がちぐはぐしてきたのかを確認する。

しかし、これといった具体的な事件は思い当たらないからこそ、Nさんもどうしたらいいのか分からないとのこと。

そこでNさんのように、周りの顔色をいつも伺いながらでないと、行動(生活)出来ない人のパターンをいくつかこちらから提示してみる。

今回Nさんに尋ねたのは、

  • 夫婦もしくは家族で決めたことを、親戚の人たちが違う意見を言った場合、家族に再確認することなく、すぐに了承していないか
  • 子育てに関しても、同じように周りの意見に翻弄されてしまうことがないか

の2点だ。

Nさんの答えは、「両方とも思い当たります」ということだった。

「自分が反対の立場だったら、このようなパートナーをどう感じる?」

と尋ねると、

「だんだん信じられなくなりますし、話し合っても無駄だと思ってきます」

というNさんの答え。

そしてこのままでは、夫だけではなく娘にも信頼をなくしてしまう可能性があることを伝える。

多くの母親は、パートナーとの信頼関係を無くすより、子どもとの信頼関係を失う方が何倍も怖いし辛い。

やはりNさんも同じだった上、信頼を失いかけていると既に感じているようなので、まずは子どもとのコミュニケーションを改善させていくことにする。

子どもとのコミュニケーションに変化が起き、子どもが母親のことを信頼し、娘の笑顔が多くなれば、夫もNさんのことを見直し、見る目が変わってくることを説明。

そもそもコミュニケーションというものは、相手が変わってもベースになる考え・心持ちは同じである。

なので、Nさんにとって、改善緊急度の高い子どもとのコミュニケーションが良くなれば、結果、夫とのコミュニケーションの取り方にも変化が起きているのである。

また、子どもとのコミュニケーションの改善を優先させるメリットは他にもある。

子どもというものは、小さければ小さいほど親にとっては所有物になりかねない。

ましてや、母親にしてみれば十月十日我が身の中で育てたのだから尚更だ。

もちろん、親は子どもを保護する義務はある。

でも決して所有物ではない。

子どもと言えども、唯一無二の人格を持った一人の人間である。

所有物と思ってしまいがちな子どもに対して、きちんとしたコミュニケーションができれば、他人であり大人であるパートナーとのコミュニケーションは、容易になってくる。

そこで、そのためNさんの状況に合わせて、

  1. 自分自身とのコミュニケーションの技術として『ホォポノポノ』
  2. 子どもとのコミュニケーションとして『アドラー心理学』

という2つの側面からカウンセリングを通じて伝えていく。

カウンセリング後の状況

Nさんは他者(特に母親)からほとんど尊重されずに育ってきているので、
ダメな部分も含めた自分を許し、好きになるために、
初めにホオポノポノをしてもらった。

しかしNさんは、
「私は早く問題解決をしたいんです。
ホオポノポノの良さもわかりますが、
それよりもっと具体的なアドバイスをください」

と少々焦り気味であった。

そこで、子どもを含めて他者を愛するには、
自分自身を愛することからがスタートであることを説明する。

自分自身というのは、当然のことであるが
生まれてから今までのことをさす。

ホオポノポノの4つの言葉

ありがとう
愛しています
ごめんなさい
赦してください

を自分に言い続けていると、
思いがけない過去の記憶が出てくることがある。

それは楽しいこともあるが、
多くは自分にとって辛く悲しいことだ。

そしてそれが起きている時の自分はまだ幼く、
自分の力ではどうすることも出来ない。

それゆえ、ただただ恐怖におののき、
固まってしまっている小さな子ども時代の自分、
インナーチャイルドなのである。

Nさんの場合も、ホオポノポノに専念できないのは、
傷ついた『小さなNちゃん』があまりにも多くいて、
大人のNさんが圧倒されてしまっているから、ということを話す。

Nさんは『小さなNちゃん』と向き合いながら、
本当に良く頑張っている。

今では、出会った頃の口癖である

「どうせ私はバカですから」

という言葉を、ほとんど聞かなくなってきた。

自分自身を愛せるようになってきたので、
いよいよ、子どもとのコミュニケーションの改善に進み始める…

アドラー心理学を通しての変化やポイント

とかくNさんのように自分に自信がない母親は、学校での成績評価を過度に喜んでしまう傾向がある。

そのような母親に育てられた子どもは、子ども自身が満足したり、達成感を味わったりするのではなく、『母親が喜ぶ』という基準での喜びとなってしまう。

母親の期待を達成することが、目的となるわけである。

母親に、「すごーい!ママの子どもじゃないみたい。あなたって、ほんとにいい子ね」と言われ、益々いい成績を取ったりするのだが、本人の自信は全く積み重ねられていなかったりする。

「ほめて育てているのだからいいんじゃないの?」と思われる方もいるかもしれないが、『良い子育て』=『ほめて育てる』の大きな落とし穴なのである。

そうではなくアドラー心理学でいう『勇気づけ』こそが子どもに自信をつけ、次へチャレンジしていくメンタルが養える。

例えば、良い成績を取ってきたときの『勇気づけ』の対応は、「嬉しそうね。あなたが努力した結果だものね。あなたの嬉しそうな顔を見ていると、ママも嬉しくなっちゃうわ」というふうになる。

両者の違いは
『ほめる』

  • 他人との競争に意識が向く
  • 周りの評価が気になる

『勇気づけ』

  • 自分の成長に意識が向く
  • 自立心や責任感が育つ

なのだ。

大多数の親は、子どもの幸せを願っている。

だが大事なのは、子どもがどういう状態になっていることが幸せか、だ。

いつまでも子どもの側にいたいのは山々だが、悲しいかな、順番では親の私たちのほうが先に逝く。

ということは、親はいつまでも子どもが転ばない安全な道を用意したり、万一転んでも面倒を見たり、後始末をしてあげることは出来ないということだ。

子どもは親がいなくなっても、自分で考え決断し、行動をしていく必要があるのである。

ということは、子育ての最終目的は、
『どんな環境においても生きていけるサバイブ能力を、子どもに身につけてもらうこと』
と言えるのではないかと私は思う。

このような説明を行うことで、Nさんも『勇気づけ』の大切さがわかり日々実践している。

現在は、娘とのコミュケーションだけでなく、夫との関係も変わってきたという。

そして、
『当時のあの時があったからこそ今の時間が貴重に思える」
といえるほどに成長し、充実した時間を持てている。