こんな優しい夫と離婚すべきじゃない…?パートナーシップにおける本当の優しさとは【夫婦カウンセリングケーススタディ8】

こんな優しい夫と離婚すべきじゃない?

こんにちは、夫婦カウンセラーの緒方リサコです。

突然ですが、あなたはどんな時にパートナーの優しさを感じますか?

例えば、

「何でも言うことを聞いてくれる」
「欲しいものを買ってくれる」
「愛してると言ってくれる」

などでしょうか。

たしかに表面的には優しい言動と感じますが、それが「本当にあなたのことを想ってなのか?」という観点で改めて見直してみると、どう感じたり思われたりされるでしょう。

もしかするとその言動は、優しさからではなく

「自分をよく見せたいから」
「その場をやり過ごしたいから」
「自分が相手をコントロールしたいから」

という気持ちが隠れているかもしれません。

今回カウンセリング事例をご紹介するIさんは、離婚したい意思があるものの優しいご主人を目の前にすると「やっぱりこんな優しい夫と離婚すべきじゃないかも」と躊躇されていました。

Iさんの事例をご覧いただき、パートナーシップにおける「本当の優しさ」につい考えてみませんか?その気づきこそが、夫婦問題解決の糸口になるかもしれません。

ご相談者さまのプロフィール

結婚して5年経つが、その半分以上不倫を続けている。
夫への罪悪感から離婚を考えているが、優しい夫で大事にしてくれているため躊躇している。

実際のカウンセリング内容:夫の優しさだと思っていたことが、実は「脅迫」だった?!

Iさん
「夫とは仲良しなんですが、最近離婚を考えていて

カウンセラー緒方
「どうして?」

Iさん
「実は私、結婚生活の半分以上不倫しているんです。原因は、夫とのセックスレスなんですが。このまま結婚生活を続けるのは申し訳ないので、夫に離婚したいって言ったことはあって

カウンセラー緒方
「ご主人は何て?」

Iさん
「夫は『俺は愛してる』『もし離婚したら自殺するかもしれない』とまで言ってくれて。こんなにも優しく大事にしてくれる人と離婚なんてできないなと

カウンセラー緒方
「ちょっと言葉止めてもいいかしら?」

Iさん
「はい」

カウンセラー緒方
「優しさって何かしら?Iさんは、優しさってどういったことだと思っている?ご主人の言われていることって優しさ?」

Iさん
「そう思います」

カウンセラー緒方
「私が疑問に感じていること伝えていいかしら?ご主人はIさんを本当に愛していられるのかしら?って凄く疑問に感じるの。

今、Iさんの気持ちが違うところにいってしまっているのは事実よね、それも結婚生活の半分以上の期間。その間ちょっとしたIさんの表情が『出会った頃の笑顔じゃないな』『何かおかしいな、どうしたのかな?』ということをご主人が何も感じられていないってことが不思議なの。

それに離婚したいって伝えたのよね。表面的な理由はセックスレスだったとしても」

Iさん
「はい、言いました」

カウンセラー緒方
「ご主人が、『君は離婚したいと思っているけれど僕は愛している。だから君がこのまま結婚生活を続けていこうと思えるようにするために僕は何をどう改善したら良いんだろう?』と思えることが愛じゃないか、と私は思うんだけれど。

もしくは『辛くて悲しいけれど、改善の余地がないのなら離婚することが最後の僕からの愛になるのかな』とか。

Iさんはどう思う?」

Iさん
「たしかにそうかも

カウンセラー緒方
「だとしたらご主人が言われていることは『優しさ』ではなくて何になると思う?」

Iさん
「え、優しさだと思っていたので分かりません」

カウンセラー緒方
「私には『脅迫』に聞こえるんだけど。正直な自分の気持ちを伝えたのに、『だったら僕は死ぬ』って言っていられるのよ。

そうやって自分が望まないことをIさんがしないように、脅迫観念で自分のテリトリーの中に入れておこうとしている。『コントロール』のように感じるのよね」

Iさん
「でも彼は彼で改善しようとはしているんです」

カウンセラー緒方
「例えば、どんなこと?」

Iさん
「ムードを変えるためにラブホに行ったりとか。でも私はそんな所に行っても体の相性が合わないのは分かっているので拒絶してしまってだから、私が悪いんです」

カウンセラー緒方
「なるほどね、セックスレスに関しては、ご主人も色々工夫されているのね。でもだからって、離婚したら自殺するという発言をしていいことになる?」

Iさん
「なりませんね」

まとめ:夫婦に問題が生じた時は「本当の優しさ」について考えるチャンス

自分を必要としてくれているような表現をされると「私は愛されている」「やっぱり夫(妻)は優しい」と思いがちですが、それは本当の意味での優しさなのか?を改めて考える必要があります。

特に夫婦関係に問題が生じた時は、「本当の優しさって何だろう?」と考えるチャンスと捉えると良いかもしれません。

というのも「保身などからくる表面的な優しさ」を「本当の優しさ」と思ったまま夫婦を続けていくと、また同じような問題にぶつかる可能性が高いからです。

今回Iさんは、本当の意味での優しさに気づかれたため、離婚したいという意思を再度ご主人に伝えることを決意されました。この一歩が、「今度こそ幸せになりたい」というIさんの願いにつながっていくことと思います。

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ABOUT US
夫婦カウンセラー緒方リサコ
47歳のときに22年間の結婚生活にピリオドを打ち、子連れ離婚する。熟年・調停離婚になったことから息子の心理状態に影響し、親子関係が悪化。これを機に、アドラー心理学(親子関係・家族関係)、発達心理学(主に児童・青年心理学)を学び実践をスタート、息子との関係を改善させる。その後、カウンセリングを始め、さらにパートナーシップについての独学を続ける。 離婚から5年後の52歳で、新しいパートナーとステップファミリーとなることでの日々の充実や成長を経験し、パートナーシップの大切さを自分自身でも強く実感する。長く幸せなパートナーシップを築くためのサポートができたらとピリアロハカウンセリングを設立。現在は東京代々木のカウンセリングルームを中心に活動。