子連れ離婚後の親子関係改善への第一歩《動画付き》【夫婦カウンセリングケーススタディ14】

こんにちは、夫婦カウンセラーの緒方リサコです。

前回<子連れ離婚後、元夫への怒りを断ち切るには?>というご相談でお越しいただいたMさんですが、その後話は「離婚後の親子関係」に発展しました。一般的にもありがちなケースなのでご紹介したいと思います。

子連れ離婚後、子供のためにも自分のためにも「もっと頑張ろう!」「幸せになろう!」と強い思いを抱く女性(もしくは男性)は多いと思います。

にもかかわらず、かえって親子関係が悪化し、幸せとは程遠い状況になってしまう…実はこういったケースが非常に多いのです。

その原因は各家庭の環境や子供の年齢にもよりますが、私が気になっているのは親が子供に対して『(離婚して)ごめんね』と言い続けてしまうこと。一般的にありがちなことですが、子供からしてみれば『謝るくらいなら離婚しないでよ!』という気持ちになってしまいます。

それに、親子関係が悪化したまま(ないしは話し合うこともできない状態のまま)だと、新しいパートナーと良い関係を築くこともできないと私は考えます。

そこで今回から2回に分けて「離婚後、子供に『申し訳ない』という気持ちが拭えず、これから親子一緒に幸せな生活を送っていけるか不安…」というお悩みをお持ちのMさんのご相談から、親子間のコミュニケーションや関わり方について考えていきたいと思います。

今回はまず「子供に対して『ごめんね』と謝ることが親子関係にどんな影響を与えるのか?」を次のカウンセリング事例から見ていきます。

ご相談者さまのプロフィール

夫の浮気が原因で子連れ離婚をする。※お子様の年齢は15歳以上
離婚後、子供に対して「申し訳ない」という気持ちからいろいろと世話を焼いてしまうが、それが子供にとって良いことなのか?不安を感じている。

実際のカウンセリング内容:離婚後の親子関係に不安があります…改善できるでしょうか?

Mさん
「子供に申し訳ないなっていう気持ちもあって。周りからは、そんなに1人で頑張らないで、もっと子供に協力してもらって自分の幸せをつかみなよって言われるんですけど…。でもやっぱり申し訳なくって。

人からは、もっと子供に頼っていいし、子供にもっと自分で考えさせなきゃダメだよって言われて。たしかにそう思うんですけど、(申し訳なさから)子供にいろいろとやってあげてしまう自分がいて…。それじゃあ、ダメですよね?」

カウンセラー緒方
「(子供に対して)申し訳ないからこそより一層いろいろしてあげたいという気持ちが起きるっていうのはあると思うのよ。だけどちょっと立場を変えて、もし仮にMさんが今のお子さんと同じ立場にあったとして、親から『ごめんね。お母さんのせいでこんな風になって本当にごめんね』って言われ続けたとしたら、どんな気持ちになりそう?」

Mさん
「そこまで負担に思わなくていいよって。自分はちゃんとやっていけるから、お母さんはお母さんで幸せになってって(思うかな)」

カウンセラー「うんうん、そう思うよね。だから子供に申し訳ないっていう気持ちをもつことは、ある意味子供に対して失礼。それよりも『あなたたちがいてくれたからこそ、お母さんは自分を大事にする道を選べたのよ、本当にありがとう』っていう気持ちをもつことが大切。

もし、母親から『ありがとう』っていう言葉を投げかけられたとしたら、Mさんだったらどんな気持ちになりそう?」

Mさん
「嬉しいですね。ママのために自分たちも頑張ってるから、一緒に頑張っていこうって(思えそう)」

カウンセラー「そうそう。みんなで一緒に幸せになっていこうよっていう気持ちになりそうだよね」

Mさん
「たしかに。そっか、そういうことかぁ」

カウンセラー「親が申し訳ないって思っていると、子供もだんだん腹立ってくると思うのよ。申し訳ないって思うなら、そうしないでよ!って」

Mさん
「あぁ、そっか」

カウンセラー「もちろん、こうなっちゃって(離婚することになっちゃって)ごめんねっていうのはあってもいいと思う。だけど、あなたたちがいてくれたからこそ、今まで気づけなかったことに気づけたの『本当にありがとう』っていうね。

これからはお母さんこうやっていくねって。だからその時にはもしかしたら協力を求めるかもしれない、だけどお母さんもあなたたちが幸せになるために何か役に立つことがあれば、いつでもスタンバってるから何でも言って!って。

親と子供がお互いにそういうスタンスでいられれば、とっても素敵じゃない?」

Mさん
「本当にそうですね」

カウンセラー「子供たちも『お母さんの幸せのために、自分も役に立てるんだ』という何ともいえない喜びってあると思うのね」

まとめ:離婚後の親子関係改善のために、子供に伝えたい言葉って?

一般的に(子供をもつ夫婦が)離婚をした場合、Mさんのように子供に対して“申し訳ない”という気持ちを抱いてしまうものです。私自身も子連れ離婚を経験しているので、同じ親としてお気持ちは痛いほどよく分かります。

…けれど親が謝ってしまうと、子供はなかなか「本心」や「素直な気持ち」を出しにくくなってしまいます。子供が本当に求めているのは、謝罪ではなく『安心できる言葉』や『プラスの感情が湧き上がるようなコミュニケーション』なのです。

カウンセリング動画のなかでMさんにお話したように、まずは「ごめんね」の代わりに『ありがとう』という気持ちを伝えるようにしてみましょう。こうした小さな積み重ねが、しっかりとした親子関係の土台となっていきます。

そしてもう1つ、子供への思いから『ごめんね』と言っているつもりが、実は自分を守るためだったり、自己満足のためになっていないでしょうか?心当たりがありそうな方は、そっと胸に手を当てて考えてみてください。

さて次回は、Mさんのカウンセリングの続きを見ながら『離婚後の子供との関わり方』について考えていきます。お子様とのコミュニケーションに不安を感じている場合は、ぜひご覧くださいね。

子連れ離婚後の良好な親子関係とは?《動画付き》関係修復・離婚相談の夫婦カウンセリングケーススタディ③

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夫婦カウンセラー緒方リサコ
47歳のときに22年間の結婚生活にピリオドを打ち、子連れ離婚する。熟年・調停離婚になったことから息子の心理状態に影響し、親子関係が悪化。これを機に、アドラー心理学(親子関係・家族関係)、発達心理学(主に児童・青年心理学)を学び実践をスタート、息子との関係を改善させる。その後、カウンセリングを始め、さらにパートナーシップについての独学を続ける。 離婚から5年後の52歳で、新しいパートナーとステップファミリーとなることでの日々の充実や成長を経験し、パートナーシップの大切さを自分自身でも強く実感する。長く幸せなパートナーシップを築くためのサポートができたらとピリアロハカウンセリングを設立。現在は東京代々木のカウンセリングルームを中心に活動。