結婚25年目で離婚危機…妻から「言葉のDV」と言われた夫がとるべき行動とは【夫婦カウンセリングケーススタディ11】

モラハラ対処法

こんにちは、夫婦カウンセラーの緒方リサコです。

ここ数年で「モラハラ」という言葉が一気に広がり、その影響を受けてか夫婦カウンセリングの現場でも男性から以下のようなご相談が増えています。

「妻にモラハラだって言われました…」
「モラハラ夫のチェック項目に自分が当てはまっていたんですが…」

モラハラは言葉のDVともいわれ、近年離婚原因のひとつにもなっています。

このような状況に直面した場合、夫である男性はどのように夫婦関係を改善すればよいのでしょうか。

今回は、まさに妻から「言葉のDV」と言われ離婚を迫られているNさんのカウンセリング事例とともに、その解決法をご紹介します。

もし同じような問題を抱えていらっしゃるとしたら、実際のカウンセリング内容をお読みいただき、より良い今後に繋がる気づきを得ていただけたらと思います。

ご相談者さまのプロフィール

Nさんの早期退職をきっかけに数年前から夫婦喧嘩が頻発。
暴力はないものの言葉のDVであると妻から指摘され、離婚を迫られている。
DVと思われる自らの言動を改善し、夫婦関係を継続させるためのアドバイスが欲しい。

実際のカウンセリング内容:感情的にならずにコミュニケーションをとるには?

カウンセラー緒方
「数年前から夫婦喧嘩が頻発するようになったということですが、その時に何か特別なことがあったとか?
それとも何か変化があったのでしょうか?」

Nさん
「喧嘩するようになったのは結婚15年目くらいだったと思います。
それまで妻は、私も含めて両親・兄弟・友達と喧嘩したことがありませんでした。
ですが、私が早期退職したいと伝えたことで、今までの安定した生活ができなくなると不安を感じ、そこからイライラし始めて…。
カウンセリングを受けたりもしていました。
そこでカウンセラーの方に『今まで感情を抑えていたのね。これからは感情を出していっていいのよ』というようなことを言われたようです」

カウンセラー緒方
「なるほど。今まで意見や考えを仰らなかった奥様が急に言い出されたことで喧嘩が頻発するようになったのですね」

Nさん
「そうなんです」

カウンセラー緒方
「その時、Nさんはどのような対応をされたの?」

Nさん
「自分がやりたいことがあって早期退職を選んだものの、今後どうなるのか不安も大きかったのが正直なところで…そういう状況で、妻から『そもそも結婚したのが間違いだった』『無理して生きてることなんかない』『死んでやる』と言われて、つい大声をあげて威嚇のようなことをしてしまいました」

カウンセラー緒方
「それに対して奥様は?」

Nさん
「『あなたのは、まさに言葉のDVだ。そんな人と一緒に生活できないから出て行く!』と数時間いなくなったりしていました」

カウンセラー緒方
「なるほど、そうなのね。Nさんの大声での威嚇は、確かに効果的なコミュニケーションとは言い難いかもしれないわよね」

Nさん
「そうなんです、自分が大人になれていないんです。情けない。なので妻が悪いんじゃなく、すべて自分が悪いんです」

カウンセラー緒方
「ちょっと待って!とはいえ、Nさんはいつもそんな物言いなわけではないのよね?」

Nさん
「はい、もちろんいつもではありません」

カウンセラー緒方
「ということは、何かに反応してしまったからこそ、反射的に大声での威嚇になったのかなって感じるんだけれど。
その時のこと、ちょっと振り返ってみましょうか。
大きな声、態度、威嚇的な言い方を通して、Nさんは本当はどんな気持ちを奥様に伝えたかったのでしょう?」

Nさん
「『俺だって色々辛いことがあるけど頑張ってるんだ。お前だけが辛いんじゃない』と自分の気持ちを分かってもらいたい一心だったような気がします」

カウンセラー緒方
「その気持ちを一番分かって欲しかったのが、奥様だったのね。
その奥様に責められて、自分のせいで死ぬとまで言われて、どんなにかお辛かったかなと…
先ほどNさんは、自分が大人になれていない、妻が悪いのではなくすべて自分が悪いんです、と言われましたよね」

Nさん
「はい、言いました」

カウンセラー緒方
「その発言でちょっと気になったことをお伝えしてもいいかしら?」

Nさん
「はい、何でしょう?」

カウンセラー緒方
「Nさんは真面目で誠実でいらっしゃるからこそ、何か起きるとすぐに反省されるのかなと…素晴らしいことだと思います。
ただ、もしかするとそれが度を超えてしまって自己否定になっている可能性があるのだけれど、そんなことってない?」

Nさん
「大いにあります。仕事で上手くいかなかった時も、うつ病と診断されましたし…」

カウンセラー緒方
「そうだったのね。何か起きた時、私たちは反省するからこそ成長につなげられますよね。
でも、その反省が『自分は役に立たない…』『自分は居ても意味のない存在』『自分は何をやっても失敗ばかり…』というように、どんどん自己否定になっていくと、どうなるでしょう?」

Nさん
「…自分の存在価値を見失いそうです」

カウンセラー緒方
「そうですよね。何かができるから、失敗しないから、人って存在価値があるのでしょうか?」

Nさん
「そうではないです」

カウンセラー緒方
「上手くいかないことがあっても反省するからこそ『この失敗を生かして、次はこうしていこう』と改善するポイントが明確になる、と私は思っています。
なので、自分が反射的に反応してしまった場合、『実は自分は何を伝えたかったんだろう?』とその時の自分の感情を確認して頂けたらと思うんです。
そうすると、自分のことをどんな風に思えそうですか?」

Nさん
「本当はこんな気持ちだったんだ。だったら、この気持ちを伝えるためにはどんなコミュニケーションをとればいいのか、と考えやすくなりそうです」

カウンセラー緒方
「そうなんです。何かに反応してしまった時こそ、自分が自分に助けを求めている時。
なのでまずは自分自身がそれに気づいてあげると、心がスーッと落ち着きます。
そうすれば、奥様に対して感情的にならずにいられるのではないかしら?
どのような状況でも“柔軟に”対応できる自分になると、結果的に奥様との関係も改善していきますよ」

Nさん
「確かにそうですね。何に反応してしまうのか、まずは自分のパターンを知ろうと思います」

まとめ:カッとなった時こそ、自分の思考パターンを知るチャンス

モラハラという言葉が市民権を得たことで、世の中の男性がやや肩身の狭い思いをされているのでは…?と思うことがあります。しかし、奥様がモラハラと感じるということは、少なからず効果的なコミュニケーションではない、ともいえるかもしれません。

奥様の言動に対してカッとなった時こそ、自分の根底にある思考パターンを知るチャンスです。「自分は、こういう時に反応するんだな」と自覚することで、次はどのように対応していくと良いかが明確になるでしょう。

エリック・バーンの「他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる」という言葉の通り、自分が変わることで状況も好転していきます。

Nさんのように夫婦関係を改善したい場合は、まず自分の思考パターンを知ることから始めてはいかがでしょうか。

ABOUT US

夫婦カウンセラー緒方リサコ
47歳のときに22年間の結婚生活にピリオドを打ち、子連れ離婚する。熟年・調停離婚になったことから息子の心理状態に影響し、親子関係が悪化。これを機に、アドラー心理学(親子関係・家族関係)、発達心理学(主に児童・青年心理学)を学び実践をスタート、息子との関係を改善させる。その後、カウンセリングを始め、さらにパートナーシップについての独学を続ける。 離婚から5年後の52歳で、新しいパートナーとステップファミリーとなることでの日々の充実や成長を経験し、パートナーシップの大切さを自分自身でも強く実感する。長く幸せなパートナーシップを築くためのサポートができたらとピリアロハカウンセリングを設立。現在は東京代々木のカウンセリングルームを中心に活動。
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